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康夫はロンドン支店での会議を終わり、ヒースロー空港からニューヨーク行きのコンコルドに乗った。
この超音速旅客機に乗れば3時間半でニューヨークに行ける。 キャビンは横に4人掛け、乗客は25列ぐらいの席に満席だった。康夫はまるで操縦席のようなシートにベルトを固定しながらやや緊張した。 テイクオフだ。 機はものすごい爆音と共に発進した。窓外の風景が後方に飛んでいき、急速に加速していく。機はあっという間に大西洋上に出た。 機はさらに上昇を続け、機長が「マッハ2」に到達したことを告げた。このスピードは戦闘機でも出ない速度である。 乗客はキャビアと高級ワインやシャンペーンで寛いだ。康夫は太陽が輝く蒼穹の地平線を眺めながら、顧客企業の社長一行との夕食会に思いを巡らした。 そして明日からのMA交渉について、主要財務データを反芻した。 康夫は米国東部の名門ビジネススクールを卒業すると、ニューヨークに本部を持つ投資銀行に就職した。今回の買収仲介が成功すれば、5億円を下回わらない収入が得られる。 彼の目は、マッハで飛ぶ戦闘機パイロットの獲物を追う目になっていた。 3時間後、眼下にワールド・トレード・センタービルを見て、ケネディー空港にランディングした。時刻は時差の関係でロンドン出発時間とほぼ同時刻である。 康夫は空港で黄色のタクシーに乗り込んだ。「コンコルドの座席も良いが、NYタクシーのダブダブした座席で市内に入る雰囲気も良いな」と康夫は思った。 fumihdaiの写真ブログ
by fumihdai
| 2005-03-21 09:22
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